キーボードを見ているうちは残業がなくならない。30代から始める「タッチタイピング」再入門

資格・スキルアップ

「カチャカチャ…ッターン!」 職場の隣の席から、そんな軽快な音が聞こえてくると、つい自分の手元を見てしまいませんか?

あなたは今、キーボードを見ずに文字を打てますか? それとも、下を向いてキーを探し、また画面を見て…という動作を繰り返していますか?

もし後者なら、あなたは毎日、少しずつ損をしています。

「いまさら練習するのも恥ずかしいし、自己流でも仕事はできているから…」 そう思って見て見ぬふりをするのは、今日で終わりにしましょう。

タッチタイピング(ブラインドタッチ)は、特別な才能が必要なスキルではありません。 自転車と同じで、30代・40代からでも正しい練習さえすれば、誰でも必ず習得できます。

今回は、長年の「自己流タイピング」を卒業し、涼しい顔で仕事を終わらせるための再入門講座です。

なぜ「キーボードを見る」と仕事が遅くなるのか

タッチタイピングができると、単に「打つのが速くなる」以上のメリットがあります。 逆に言えば、手元を見ている人は、速さ以外の部分でも大きなロスをしているのです。

「視線の往復」が脳と目のスタミナを奪う

キーボードを見て、画面を見て、またキーボードを見て…。 この「首を上下に動かす動作」と「目のピント調整」を、あなたは1日に何千回繰り返しているでしょうか。

夕方になると首や肩がガチガチになったり、目がショボショボしたりするのは、この視線の往復運動が大きな原因です。 タッチタイピングができる人は、視線が常に画面(モニター)に固定されているので、疲れ方がまるで違います。

ミスタイプに気づくのが遅れる

手元を見ている間、あなたの視界から画面は消えています。 一生懸命打ち込んで、ふと顔を上げた瞬間、「sヒジkん(指示確認)」のような謎の文字列になっていて、ガッカリした経験はありませんか?

画面を見ながら打てれば、間違えた瞬間に気づいて0.1秒で修正できます。この「手戻りの少なさ」が、仕事のスピードに直結するのです。

思考が「文字探し」に中断される

これが一番の弊害かもしれません。 本来、脳のメモリは「どんな文章を書くか」「どういう返信をするか」という思考に使うべきです。 しかし、キーを探している人は、脳の半分を「『A』のキーはどこだっけ?」という単純作業に使ってしまっています。

これでは、良いアイデアも浮かびませんし、文章作成の効率も落ちてしまいます。

すべての基本は「ホームポジション」にあり

では、どうすれば手元を見ずに打てるようになるのか。 秘訣はたった一つ。「ホームポジション」を死守することです。

人差し指を「F」と「J」に置く絶対のルール

今、手元のキーボードを見てみてください。 「F」と「J」のキーにだけ、小さな突起(ポッチ)がついていませんか?

これはメーカーの気まぐれではありません。「ここが人差し指の定位置(ホーム)ですよ」という目印です。左手の人差し指をFに、右手の人差し指をJに置く。そして、他の指も自然に横に並べる。これがすべての基準になります。

指を動かすのではなく「戻す」感覚

自己流の人は、キーを打った後、指がバラバラの位置に散らばってしまいます。だから次のキーがどこにあるか分からなくなって、手元を見てしまうのです。

「遠くのキーを打ったら、必ずホーム(FとJ)に戻ってくる」 これを意識するだけで、指の迷子がなくなります。 目で見なくても、指先の感覚だけで「あ、今ホームに戻ったな」と分かるようになるからです。

矯正期間中は「タオル」をかけて強制的に隠す

理屈は分かっても、長年の癖でどうしても手元を見てしまう…。 そんな人におすすめの荒療治があります。

「手元にハンドタオルをかけて、物理的に見えなくする」のです。 最初は恐怖すら感じるかもしれません。「あ」一文字打つのに10秒かかるかもしれません。 でも、絶対にタオルをめくらないでください。その「見たいけど見られない」という負荷が、脳にキー配置を猛烈なスピードで記憶させます。

ゲーム感覚で矯正!おすすめの無料練習サイト2選

練習は、仕事中に行うとストレスになります。 休憩時間や自宅で、ゲーム感覚で楽しみながらやりましょう。おすすめの無料サイトを2つ紹介します。

基礎固めなら「e-typing(イータイピング)」

タイピング練習の王道サイトです。 「腕試しレベルチェック」という機能があり、自分の実力が「C」や「B」などのランクで表示されます。 まずはここで、ホームポジションを崩さずに打つ練習を繰り返してください。スコアが少しずつ上がるのが楽しくて、自然と続きます。

慣れてきたら「寿司打(すしだ)」でスピードアップ

回転寿司のお皿が流れてくる前に文字を打つ、有名なゲームです。 制限時間があるので焦りますが、それが「反射神経」を鍛えるのに役立ちます。 「3000円コース」でお釣りが来るようになれば、事務職としては十分なレベルです。

30代からの再学習で挫折しないためのコツ

最後に、途中で投げ出さないための心構えをお伝えします。

速さよりも「正確さ」を最優先する

練習を始めると、最初は今まで(自己流)の半分くらいのスピードしか出ません。 ここでイライラして自己流に戻らないでください。

「速く打つ」ことではなく、「バックスペースキー(削除)を使わない」ことを目標にしましょう。 ゆっくりでも、ノーミスで打てるようになれば、スピードは後から勝手についてきます。

1日10分以上はやらない

慣れない指の使い方は、脳も指も疲弊します。 1時間やって三日坊主になるより、毎日10分だけ集中して、1ヶ月続ける方が100倍効果があります。 お風呂上がりの10分、始業前の5分など、ルーティンに組み込んでみてください。

まとめ:タッチタイピングは「一生モノ」のスキル

タッチタイピングを習得することは、PCを使うすべての時間の「質」を高めることです。

  1. 視線の移動がなくなり、首や目の疲れが激減する。
  2. ミスに即座に気づき、修正が速くなる。
  3. 脳のリソースを「思考」だけに使えるようになる。

これだけのメリットが、一生続きます。 今さら…なんて思う必要はありません。今日が一番若い日です。

まずは今すぐ、キーボードの「F」と「J」の突起を触ってみてください。 そこが、あなたの「定時退社」へのスタートラインです。

タイトルとURLをコピーしました